それは去年の夏休み。
ぼくは地元に戻って自動車学校に通ってました。


そこには地元だけあって高校の時の友達も何人か通ってました。
ある日、友達の1人のK君が誘ってきました。


「近くに新しいラーメン屋ができたらしいんやけど行こう!」

と。

「どこにあるん?」


K君「んーわからんけど、あっちのほうらしいよ!」


その友達はすごく適当な人なのです。
顔は美形なんだけど、かなりすっとぼけてるのです。


「なんて名前のラーメン屋?」


K君「えーと、なんやったかなー?なんか今日の新聞に広告が入ってたんよねー。」


「それがわからんとダメやん!」




K君「えーと、あ!思い出した!ばかうまラーメンや!!」




「ばかうまラーメンかー。安直なネーミングやけどおいしんかなー?」




K君「やろ!?絶対うめーちゃ!」


こんな感じで「ばかうまラーメン」を探す旅が始まったのです。



まずはK君の指さすほうに歩いて行きました。


「あ、ラーメン屋!」

K君「ばかうまじゃねーなー。」

なんて感じで探しながら3キロほど歩いたんですけど、見つかりません。


「ねーじゃん!!」


K君「まあ、待て!あ、あそこにちょうどガソリンスタンドがある!道に迷ったらガソリンスタンドやろう!!」


道には迷ってないんじゃ・・。
でも知ってるかも!ということで聞いてみることにしました。


「あのー、すいません。ここらへんに『ばかうまラーメン』ってありますか?」


スタンドA「ばかうま?さーしらんなー。おい、ばかうまってラーメン屋知ってるか?」

なにやら従業員是全員を巻き込んだ大論争になりました。


スタンドB「さあー、知らんなー。」


スタンドC「ばかうま?左の方に新しいラーメン屋できたけどばかうまとか名前じゃなかったようなー。」



結局分からずじまいで御礼を言ってその場を立ち去りました。



K君「あ、駅のほうにできたんじゃね!?なんか地図に駅って書いてた気がする!!」


いまさら言うなよ!
と思いながらも2キロほど離れた駅の方に歩いて行きました。


駅の前まで歩いて行ったけどラーメン屋すらありませんでした。
その代わりに駅の前にタクシー屋(?)がありタクシーがたくさんありました。


K君「あ、タクシーの運ちゃんならラーメン屋の場所わかるやろ!!食べ物のことはタクシーに聞くのが一番!」

とタクシー乗り場に行きました。
そこには缶コーヒーを飲みながらタバコをふかしているたくさんの運転手がいました。

「あのー、ばかうまラーメンを探してるんですけど知りませんか?」



運転手A「ばかうまラーメン?おい、しっちょんか?」

出ました、大分弁。
ここでもたくさんの運転手を巻き込んだ大論争になりました。
しかし、ばかうまの名前は出て来ず諦めかけてたそのとき!!


運転手X「それは、ばかうまラーメンじゃなくてばさらかラーメンやろう!













ばさらかーーー!!




ばかなのはK君でした。
「ばかうま」じゃなくって「ばさらか」だったのです。


運転手A「ああ、ばさらかやったらあっちの方にあるわ!」


運転手の指さす方向は今来たガソリンスタンドの方角!!
さっき言ってた新しいラーメン屋のことかー。
左って言ってたのに右に来たからなー。。



しかも、来た道じゃんー。
来た道にラーメン屋なかったからガソリンスタンドより向こうじゃんかー。
ガソリンスタンドの前とおりたくねえ!


「あ、すいません。ばさらかラーメンでした。」

なんていえねえー。















でも結局そこから5キロ歩いてたどり着きました。。
疲れ果ててたどりついたそのラーメンの味はまさに「ばかうま」でした。